―プロローグReal―


「はぁ……大学に入ったのはいいが自分にあってないのか駄目だな……」

大学の帰り道、自分の将来を気にしながらぼーっと歩いている。
何かこう、どんよりって感じだ。
だけど1日もすれば考えが変わったりとかしそうだけどな。

一度決めた道は突き進むしかない。
後悔せずにドンドンと進むべしだ。

ということで丁度バイトもないから、このどんよりな気持ちを消すために気分転換をするか。
友達呼んで外食かどっかに遊びにでも行ってこようかねぇ。
うーん、何か他に用事があったような。

「あ、そういえば今日はネギまの発売日じゃないか」

これで友達を呼ぶのはやめだ。
今日はゆっくりと部屋でくつろごう。

いやぁ、早めに思い出せて良かった。
家の近くまで入ったら本屋がないしな。
ともかく行き着けのとこに行きますか。

 

 

 

 

 

「新刊、新刊っと」

店に入ってすぐのとこ、新刊のコーナーを指で一つ一つなぞりながら目的の物を探す。
これはオレの一種の癖かね。いや、やる人も多いよな。

ん、あったあった。
目標のブツをゲットでございます。
後はレジに、って一冊だと寂しいな。
他にも何か買ってこうか。
金は……まだあるし、大丈夫だ。

何か面白そうなのはないか、と店内を徘徊する。
いつも漫画を買うときはある友達の勧めだから、自分から買う漫画を選ぶのは久々。
逆にそいつにはゲームの薦めを出してる。
まぁ、どうでもいいな。

「あ……」

本の参列の中である一つの群れが目に留まる。
タイトルは「Fate/stay night」、よくやったゲームの名前と同じだ。
しかも唯一、件の友人に進められたゲームの物。
アイツはこっちの方は薦めてなかった。
……稀に意地悪いことするやつだったし、今度会った時に問い詰めるか。
返答の仕方次第では鉄槌を下してやるぜ。
どうやって懲らしめてやろうか――

「……?」

周りの視線がオレに集まってる?
もしや声が出ちまってたのか。
変人に見られちまってるっぽいぜ。
まぁいい、さっさと買って帰っちまおう。

レジで会計を済ませて、買った本は鞄の中へ。
これで準備はバッチリだ。
あとは……

「全速力でGO HOME!」

明日も学校がある。
早く帰って見ないと睡眠時間がなくなってピンチだからな。

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

「あー……」

ベッドに横たわりながら脇に置いてある時計で現在の時間を確認。
……本を読み始めてから5時間強も経ってやがる。
しかも外はうっすらと明るくなってきてるし。
同じ本を何度も見ちまったのがいけなかったか。
だが面白いんだからそうなってしまうのは当然だ。

「このまま寝てしまったら寝坊して講義に遅れることは間違いなし」

さて、どうする。
大学の方はマジメに毎日出ている。
せっかく入ったんだからこれぐらいはしないと。

ここで休…………んでもいいか。
うん、1日くらいならどうにかなる。
これが毎日になると危ないけどさ。

って訳で本日はマイルームで不眠の娯楽耐久戦と行こうではないか。
幼馴染の友人も呼べば共にさぼって遊べるのは間違いなしだが、
今のアイツの勉学がちょいとやばい状態だから友達として誘うのはなしだな。

何て友達想いなオレ。
ん? 色々と間違いがある?
細かいコトは気にしちゃいけないぜ。

では、パソコンとテレビを起動しようではないか。
これから始まる徹夜という聖戦に勝ち残る為に。
じゃぁポチッ、ポチッとレッツゴーだ。

 

 

 

 

「…………………」

夜に入ったと思ったばかりなのに、また日が昇り始めてるように見えるのは幻覚だと信じたい。

いや、一日がホント早く感じちまう年頃です。
自分で言ってて、よくわからん表現だが。

まぁ、のめり込めばそれだけ時が進むのも早く感じる。
そんで、これまで何をやってたのかは想像にお任せだ。
取り合えず、ちゃんと飯も食ったし風呂も入ったから一日の生活的にはダイジョブ。

「っ〜、歯みがいて寝ねぇとなぁ」

さすがに寝ないと学校で酷いことになりそうだ。
明日は辛い講義がいっぱいの日だしな。
明日……あぁ、明日じゃなくて正確には今日だよね。
……さっさと、やる事やって布団の中に入ろ。

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

「…………はっ!?」

――しまった、もしや寝過ぎたかっ。

いつもは寝てる間に目覚めることなんてない。
目覚まし時計か携帯のアラームできっちり起きるタイプだ。
急に起きたってコトはどちらも掛け忘れちまったせいで、
もう寝きれないほどぐっすり寝ちまったってコトしか考えられん。
前に一度だけ経験があるからな。
認めたくないが、学校に出れなか…………

「あ? 何処だここ?」

それ以前の問題が発生。
明らかに自分が寝ていた部屋ではなく、
見知らぬとこっていうか、とてつもなく変なとこに居るじゃねぇか……。

 

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