side―防人仁―
地底図書室に来てから2日経過したのかな。
今はここにいる2−Aメンバーでネギの授業に出ている。
バカレンジャー5人衆は着々と力をつけていってるな。
そんな中、オレと士郎は授業は聞いていない、内職をしてるってやつだ。
「士郎が授業を聞かないとはな」
「負けた方が勝った方の言うことを好きな時に一回聞くっていったからだろ」
フッ、律儀なやつよ。
乗らなくてもいい賭けに乗るとはな。
それより暗記暗記っと。
「それでは、長くやっていましたので1時間ほど休憩を挟みましょう」
その言葉を待ってましたと言わんばかりに、
バカレンジャーが一斉に散らばっていく。
そんなに休憩したかったのかよ。
「仁、酒ヲ飲マセロ」
「そうだな、冷蔵庫に調理用だか知らんが赤ワインと白ワインあったしな」
ついでにオレも頂くとしよう。
未成年だって? 前にも飲んだから気にしないの!
けど良い子は飲んじゃだめだぜ!
「何処に向かってウインクしてるんだよ」
士郎に突っ込まれたか。
まぁいい、取り合えずレッチェゴー!
お目当てのモノを手に入れるために冷蔵庫を開けてと……
あったあった、目的の品確保しましたチャチャゼロ軍曹!
すぐに帰還します!
「仁さん、何やってるんですか?」
ネギか、ネギも飲みたいのかな?
外人さんはワイン好きそうだしなぁ。
「飲むか?」
「お酒!? 僕達の年齢だと日本の法律でもイギリスでも駄目じゃないですか!」
予想に反して怒られちまったよぅ。
あ、先生だもん当たり前か。
「堅いなぁ、ネギ。まぁ戻るぞ」
「仁さん……」
ワインワイン〜♪ 息抜きは必要だよねぇ。
しかーし、抜き過ぎると大変な目にあう、
というか腑抜けてしまうので注意だぜ
「…………………」
ん? どっかから声が聞こえるな。
「「え゛っ」」
……裸の女子3人、クーと楓とまき絵が目に入ってしまったよ。
これはさすがに…………
「「キャーーーッ! エッチーーー(アル)!!」」
「す、すまん!」
オレはネギを置いて脱兎の如く逃げ出す。
自分の命は惜しいし、この場にこれ以上いるのは無理だ。
だが、ワインはしっかり忘れてないぜ。
「仁殿はスケベでござったか」
スケベって言われても否定は出来ないが、今のは不可抗力だ!
「フゥ、まるで主人公のようなハプニング。あ、ネギが傍にいたからか」
さっきの出来事を思い出しため息。
女子に勘違いされたらやだなぁ、覗く気なんてなかったぜ。
えぇ、そうですとも。
「さっきの出来事があったってことは、もうすぐ次のことが起こるはずだな」
むぅ、顔の火照りがまだ引いてないみたいだな。
士郎に会う前にもどしとかないと笑われちまうぜ。
深呼吸しながら行こっと。
おっと、戻ってきたは良いが士郎は瞑想中みたいだな。
やってるとこ悪いが声をかけさせてもらうぞ。
「士郎にチャチャゼロ、帰る時間だ」
「……やっとか」
士郎はゆっくりと立ち上がり、服についている砂を払う。
あいつらを向かいに行く……訳にはいかないよなぁ。
「滝の近くでみんなを待とう」
「何でだ?」
「理由は聞くな」
思い出してまた顔が火照ってきたじゃねぇか。
煩悩退散、煩悩退散……寺の子よ、我に力を……
「早ク酒ヲ飲マセロヨ」
む、チャチャゼロ拗ねてるな。
オレも飲んでこの気持ちをスッキリさせるぜ。
お、みんなこっちに来たみたいだ。
ゴーレムじぃさんも一緒だがな。
服は……着てる、よかったぁ。
「滝の裏に出口がある。みんな急いでくれ、追いつかれるぞ」
士郎が大きな声で呼びかけ皆を急かす。
そんなに急がなくてもあの中身はじぃさんなんだから大丈夫なんだけどな。
ん、ネギが目の前に来たが、何の用だ?
「仁さん、その剣は?」
そんなことか。
初めにここに来て会った時は隠してたからな。
細かいこと気にしなくてもいいのになぁ。
「フッ、見てわからんのかネギ? 武器さ!」
「それぐらいはわかりますよ!」
今のオレの言葉はもちろんからかったわけだけど、
そんなに他言する訳にはいかないからな。
オレが持っているのは当然カラドボルク、
消すのもったいないし士郎に負担かけると悪いから消さないでもらった。
「相手にすんのめんどくさいし逃げるか」
ネギがキョトンとする。
こんな大層な武器もって逃げるの言葉だからな。
普通はオレが退治しといてやるぜ、かね。
滝の裏に行ったやつらは……扉開けたみたいだな。
「走るぞネギ!」
「あぅ、待って下さい〜」
『フォフォフォ、逃がさんぞ〜』
うっさいぞ、じぃさん。
滝の裏口から出ると螺旋階段があり、かなり上ってきたとこだ。
下を見渡すが暗く何処まであるのかわからないくらい深い。
螺旋階段の所々には邪魔な壁があり、それの一つ一つに問題が設置されてある。
仕掛けは滝の所と同じ問題を解くと壁がなくなるというモノだ。
オレと士郎は後ろで皆の活躍を見て、ゴーレムの動きを観察してる。
バカレンジャー5人組でメルキセデクの書を渡しあい、書を持った者が問題を解いていっていた。
書の力だーって嬉々と騒いではいるが、努力のお陰でもあるんだがね。
まぁ、書の力も加わってるんだろうけどな。
「士郎、ゆえの近くに居てくれ」
そろそろドジっ子イベントが発生するはずだ。
発生しなければ一番いいんだけど、慌ててるからねぇ。
「了解した」
「あ……うっ?」
「大丈夫か綾瀬さん?」
む、すぐに発生しちまったか。だけど、十分間に合ってるな……
間に合ったんだけど、ゆえがこけそうになったからって、お姫様抱っこするのってどうなのさ。
やっぱりお前狙ってやってるのか!?
「まぁいいや。士郎任せたぞ」
「その言い方だと仁がゴーレムの相手をするみたいだが違いないか?」
よくわかったな。
ゴーレムとは一言も言ってないのにね。
こりゃ阿吽の呼吸だぜ。
「クーと楓も皆が五月蝿くなる前に担いで連れてってくれ」
「了解したでござる」
「わかたアルよー」
士郎がゆえとこのか、楓がネギとアスナ、クーがまき絵を担ぎ上に走っていく。
さてじぃさん、オレは走って逃げるのは疲れたぜ。
何となく物語に沿っていたが別にゴーレム倒してもいいんじゃねぇか。
それにゆえが下手をすると怪我してたし、罰を与えなければならないな。
『フォフォフォ、お主は逃げないのかの?』
「ハッ、逃げるだと? 早くゴーレムとリンク外さないと痛い目みるぜ?」
ゴーレムの首目掛けて跳び、
カラドボルクをゴーレムの首に――
『フォ!? これはやばいのう』
――――払った。
ゴーレムの体から頭部が切り離され、
崩れるようにゴーレムは奈落に落ちていった。
じぃさんが慌てた声を出した時にゴーレムのリンクを外したようだ。
一歩遅れてたら本体の方もひどい状態になったかもねぇ。
「あっけなかったな。剣の能力が高すぎたせいか」
「ケケケ、今ノ動キヲイツデモ出セレバ御主人トモソコソコ戦エルゾ」
士郎め、チャチャゼロを置いてきやがったな。
あいつが頭に乗せてたはずなのに。
別にいいけどさ……
「みんな追いかけるとしましょうか」
チャチャゼロを頭に乗せ、小走りで階段を駆け上がる。
「お、みんな待っててくれたのか?」
エレベーターの前で皆さんが居ましたよ。
はて、何故に待っていたんだろ。
「地上に先に出ようといっても中々聞いてくれなくてな、仁が来るのを待ってることになった」
「迎えに行ってもよかったでござるが士郎殿が行かなくていいと言って道を塞ぐので行けなかったでござる」
そうかぁ2−Aは仲間意識強いしなぁ。
みんな優しいねぇ、お兄さんうれしいよ、よよよ〜。
「仁さんゴーレムはどうしたんですか!?」
「ぶっ壊してきたから心配すんなネギ」
「えっ! あれをあんたが!?」
そんな意外そうな顔するなよアスナ……オレを何だと思ってるんだよ。
あれか、ただの雑魚キャラ?
「事実だからしょうがない。そうだ、その魔法の書かしてくれ」
アスナが魔法の書を受け取り――
――奈落の底に魔法の書を勢いよく投げた。
「「ああ〜〜〜折角手にいれたのに〜〜」」
アスナとまき絵がユニゾンして絶叫。
素晴らしいハモリ方だぜ。
「あんな本の力を借りてテストの点数よくなったところで意味がない。
それにみんなでネギを先生にするんだろ?
実力でやらないとネギが浮かばれないってやつだ」
む、士郎以外のみんなが息を詰まらせオレを見てるな。
……この重い空気は耐え切れないぞ。
「あんたからそんな言葉出るなんて信じられないわ……」
「「仁くんかっこい〜(え〜)」」
開口一番そんな言葉とはアスナひどい、ひどすぎるぜ。
このかにまき絵はありがとうだな、うれしいぞ。
「さて、仁の稀に出るためになる話も聞けたことだし帰るぞ」
「稀に出る、は余計だ士郎」
士郎は気にせずエレベーターに乗り込み、皆も士郎に続き乗り込む。
最後にオレが乗り、エレベーターは地上目指し上っていく。
あれ? これって重量オーバーにならなかったっけ?
うーん、本を勝手に持ち出すと駄目って仕掛けとかかな。
「外に出れた〜!」
「いえーっ♪」
元気だなぁ、能天気とも感じるぜ。
テストまで1日もないんだが大丈夫だろうかね。
テスト当日、時刻はすでに遅刻の時間。
オレと士郎はテスト勉強をし続けていたので寝てない。
故に遅刻するはずがないんだが……時計が運悪く1時間ずれていたため遅れてしまった。
それに互いに耳栓しながらやってたから気づかなかったぜ。
テストの方は徹夜でもオレは一日中以上ゲームやってたこともあって慣れてるし、
士郎はそういう生活がよくあることもあったらしいので互いに心配はない。
「フッ、無様だな皆の衆」
「何かっこつけて言ってるのよ! あんたも遅れた張本人でしょーが!」
突っ込みに鉄拳はやめてくれアスナよ。
かわしたから大丈夫だけどさ。
「仁くん昨日の図書館島のエレベータ前の時とギャップありすぎやわ〜」
「それが仁だからなぁ……」
このか、あんまりがっかりしないでくれ哀しいじゃないか。
士郎は何気にひどい台詞言ってないか?
「遅刻組は別教室で受けなさい」
皆に合わせて走ること数分、学校に到着。
学校前には生活指導の新田先生が待ち受けていた。
「了解した新田のおやっさん」
「防人、それはやめなさいといつも言っているだろう」
フッ、それはできないな。
あなたは外見が俺的におやっさんだからしょうがないのさ。
とにかくテストだテスト勝つぞ! 士郎にっ……!
―テスト中【小話】―
「うぅ……やっぱり難しい」
「それに眠いアル……」
「やっぱ徹夜は失敗だったかな……」
「コラ、私語をしない」
「ハーッハッハッハ」
「高笑いもしない」
よし、テスト終わった〜。
途中でやけに頭の中がスッキリしてきたのはネギの魔法によるものだろう。
便利な魔法だ、オレも使えるようにならんのかなぁ……
ま、いいや、とにかく結果が楽しみだぜ。
結果発表、一位のクラスから順次発表されていく。
次々と発表されていくが一向に2−Aの名前は発表されない。
進むにつれて、2−Aの祈りが強くなっていってる。
……さて、次はブービーだが……他のクラスか。
やはり2−Aは『今のとこ』はビリのようだ。
む、ネギが出ていったな、バカレンジャーと図書探検部も追いかけてることだし行くか。
「士郎、ネギを追いかけに行くぞ、あっちで点数発表されるはずだしな」
「ビリはないと思ったがやはり俺達の点数が加わってなかったのか」
「あぁ、じぃさんのせいでな」
駅のホームにてアスナがネギを後ろから抱きしめて行かせないとしている。
「お熱いねぇ」
「……………」
オレは見たまんまの感想、士郎は何も言わないな。
「フォフォフォ、いや〜すまんかったの、遅刻組みのテストの点数はワシがつけといてうっかり2−Aに足してなかったのじゃ」
やっと来たか妖怪じぃさん。首の怪我はないみたいだな。
残念だ……それに、ネギには笑い事じゃすまされねぇことだぜ。
「早速、テストの点数を発表するぞい」
テストの点数は、まき絵が平均66、楓が63、ゆえも63、くーが67、アスナが71か。
ここんとこは忘れてたがみんな頑張ってるな。
バカレンジャーの予想外の点数に皆の喜びが大きいぜ。
特にレッドが一位だしなぁ……
頭の良い三人組の方はパルが81、本屋ちゃんが95、このかが91だ。
バカレンジャーも頑張ってたがコッチのレベルはたけぇな。
ちなみにテストは500点満点と言っておこう。
「それじゃぁ最後に衛宮君と防人君の発表をしようかの」
おお、ついにきたぜ。
みんなの視線もこっちに集まってるよ。
「先ずは衛宮君、合計点498点の平均点99.6じゃ」
みんなからの驚きの声が上がってる。
そりゃぁそうだ、一問ミスだろうからな。
しかし士郎やるな……
「最後に防人君………合計点499点で平均点が99.8じゃ。2人ともおしかったのう」
よっしゃああ!! 1点差だがやってやったぜ!
「ハーッハッハッハ! 士郎賭けはオレの勝ちじゃぁあ!」
「ぐっ……まさか負けるとは…… 」
オレは徹夜をするとテンションが精神がハイパーモードになるということを言っておこう。
む? オレの無駄に高い点数を聞いてみんなポカンとしてるな、フフフ。
「あんた達……衛宮さんはわかるけど、仁までチャオちゃんレベルだったなんて……」
アスナよ中学の問題だからさ。
あと、お前はやっぱりオレを雑魚キャラだと思ってたな……
「……ということは」
「うむ、2−Aはビリではない、しかもトップと言うことになる」
「「「「やったー!!」」」」
ここに居る2−Aメンバーの喜びの声がホーム全体を包む。
オレと士郎は別に喜んでないぜ。
士郎もオレもこれが当然だと思ってたからさ。
まぁオレは笑ってる、高笑いだがなっ。
お、じぃさんがネギの所に向かってるな。
「フォフォフォ、防人君や衛宮君が転入してなかったとしても2−Aはトップじゃったよ。ネギ君よくやったのう」
「そうだったんですか! ありがとうございます学園長先生」
フム、オレ達がいなくてもトップかそこんとこはオレの記憶と同じだな。
それよりも……
「士郎に何やらすかはじっくり考えて言うからな〜」
「これも、俺が負けた所為だ……あんまり無茶なことは言わないでくれよ」
ネギも教師になれたことだし、一件落着だ。
士郎との賭けで得たものも大切に使わないとな。
ハーッハッハッハ!!