side―長谷川千雨―
学年末テストが終わり、あっと言う間に終了式だ。
「皆さんこれからもよろしくお願いします」
ガキ……いや、ネギ先生が来年度もよろしくとクラスの皆に挨拶をする。
来年度も私たちのクラスの担任になるそうだ。
私は別によろしくされたくはないんだが。
「ほら、見て見て〜〜っ! 学年でテストでトップのトロフィー!」
「みんなネギ先生のおかげだねーっ!」
何故だ、何かあの先生はやったか?
先生のお陰とは言うが私の記憶にはまったくない。
お、双子の姉妹のつり目の方が先生が10歳なのに先生をやるとはおかしい、
とそう言ってくれたな。
労働基準法違反だと気づいたようだな。
いくら頭が良くてもガキが先生をやること自体間違って――
「今日はこれから全員で学年トップおめでとうパーティーやりませんか!?」
――ぐっ……始めの疑問は何処にいった。
突然パーティーという話になるのはどうしてだ!?
お陰で頭をぶつけたじゃないか!
「パーティーか。オレの学年2位のおめでとうパーティーも同時開催だな! あと士郎の3位も」
「うっ……どうせオレは3位さ……」
「負ケ犬メ」
このクラスはおかしいことだらけだが一番おかしいことはこれだ!
右隣の奥のロボは一応女性に見えることだろうから……本当は全然良くないがまぁ良いとして、
何故男子が女子中に、しかも私の後ろにいるんだ!
「長谷川さんどうしたんだ? 具合悪いのか?」
「ちぅ……いや、千雨さんはちょっとご機嫌斜めなんだぜ、士郎」
こいつ今ちぅって言ったな。
その事がわかるということは、まさか……私のホームページを見てるのか?
それにご機嫌斜めって何でわかるんだよ、顔に出してはいないはずだ。
「君の気持ちはよくわかるさ、ネギが担任になり尚且つ今だに俺達がいる、そうだろ?」
青髪の防人仁がそう言い、高笑いをする。
全て言うことが合っている……読心術でも使ってるのだろうか……
それとこいつら中々顔がいい上に頭はトップレベルっておかしい。
あと、転入してきた時に防人が学園長の陰謀とは言っていたが、本当の理由は違うんじゃないのか?
「フフフ、悩んでるな悩みまくってるな! だがその疑問には答えられない! まぁいずれ君には話すことになるさ」
いずれ話すことになるってどういうことなんだよ。
ぐぅ……だんだんムカついてきたぞ。くっ震えが……
……とにかく帰るとしよう。
さて、早く家に帰ってこのイラつきを大衆に言わなければ。
「長谷川さ〜ん」
ゲッ、子ども先生に、防人に衛宮!?
それに、あーっと……ロボの妹か。
何でこんなところに、電車には乗ってなかったはずだが。
「何か用ですか?」
電車に乗ってなかったのはどうでも良いとして、
何故、私をつけてきたのか、私は別に悪いことは何もしてないはずだが……
「衛宮さんに長谷川さんが震えてるから良く効く薬がないかと言われて持ってきたんです」
なるほど、赤髪の【正義の味方】こと衛宮士郎の仕業か。
衛宮はいつも人助けをしていて学校からは正義の味方と言われるこの男ならしそうな事だな。
「いえ、もう治りましたんで大丈夫です」
それにさっきのは、いらつきから来る震えだ。
別に風邪がどうのといったわけではない。
「あ、あのパーティーにはこないんですか?」
「私ああいう変人の集団とはなじめないんです」
「そうですか、みんな普通だと思いますけど」
あんたが言う台詞じゃないし、あんたの周りを見てみなと言いたい。
お前たち三人が特におかしいんだよ。
……とにかくここを抜け出そう、
「それではみなさん、私は帰りますのでついてこないで下さい」
防人が異様な顔をしたような気がしたが、気のせいか。
「普通の中学生の生活を送りたいのになんでこんなことになったんだ!!!」
私は自分の部屋に着き早々いらつきを爆発させる。
こうなった原因は此処に入学してきたこと? いや、違う。
何故か私のクラス、2−Aに大量に変人を送ってきてるのが原因だ。
しかも、全てが故意的にやられてる感じがしてたまらない。
「くっ、この理不尽さを大衆に訴えてやる!!」
ちう特製のお気に入りのコスプレを用意。
メイクと着替えをし、かかること数分。
フフフ、これで後はホームページに今の気持ち、理不尽さ、いらつきを書き込むだけだ。
『今日はちうの後ろに座ってる男どもと担任の先生にストーカーされたのぉ――――』
いつも通り素早くで十数行の文を打ち込む。
打ち込み終わった瞬間、早速みんなはいい反応で返してくれる。
ああ、なんて気持ちいいんだ。
この時間は唯一この学園生活で私を癒してくれる。
これがなければ私はもう力尽きているかもしれない。
フフフフフフ………
「っ! 何でおまえ等が人の家に勝手にあがってるんだ!」
後ろに気配があると思ったら例の3人、
先生と防人と衛宮が人の家に勝手にいた。
「あ、スイマセン。ドアが開いてたので」
「長谷川さんって地味に見えたけどすごい大胆な女の子だったのか」
「その通りだ士郎!」
何で知ってる風なことをいるんだ防人は……
まずは勝手に入り込むな、不法侵入だろ!
それにこれを見られてしまった以上こいつ等をどうにかしなければ……やはり消すか!?
「わー! すごく綺麗ですね長谷川さん」
「そうだなネギ君」
先生と衛宮の二人がパソコンを見て感想を述べてる。
死ぬほど写真に修正をかけてるんだし、
それぐらいの反応がないと本当に困る。
「ちぅは修正なんかかけなくても十分かわいいと思うけどなぁ」
なっ! いきなりなんてことを言うんだこの青髪が!
「これ修正かけてるのか? 別にかわらんと思うぞ」
「そうですね」
こいつ等は、次から次へとなんて恥ずかしいことを言うんだ。
揃いも揃って、全員自覚が全くないのか?
「さてと、早く着替えてもらおうか」
な、防人のやつは変態……
「そんな目で見るな。うさぎちゃんだとパーティーに連れて行っても恥をかかせるんでな」
最初から全部言えよ、変な誤解しちまっただろーが。
くっ、今までのこいつらの言動で私の顔が真っ赤になってるかも知れない。
「早くしないとそのまま連れてくぞ。拒否権はないぜ」
ちっ、強情な奴だ。
しょうがない、今日くらい変人達と付き合ってやるか。
「着替え終わったぞ、行くんだろ?」
「うーん、士郎はちぅを片腕で担いで先に行っててくれ、
下の芝生の少し行った所やってるみたいだから窓から出て行っていいぞ
……ん? 心配するな。ちぅなら多少本気だしても心配ない」
いきなり慣れなれしくなったな防人の奴。
そしてちぅはやめてくれ……
こいつの性格だと言っても聞かないんだろうがな。
あと本気で担ぐってなんだよ。
「じゃぁ失礼するよ長谷川さん」
げっ、何で腰に手を廻すんだよ……
って何で窓から飛び降りるだぁぁぁぁぁ!
……はぁ……はぁ……無事に着いたか……
「衛宮、お前はいったい何なんだ?」
「俺は元正義の味方なのかな」
うっ、なんだ今のこいつの笑顔……
見てるといらついてくるし、その返答は意味わからん。
防人といい何でこんなにいらつくんだ?
「さすがに早いな、オレもまだまだか」
「昔よりは十分ましだぞ」
「イヤ、遅スギダゼ」
いつの間に防人もきたんだよ。
まさか、お前も窓から飛び降りてきたのか。
まだまだか、じゃなくて十分お前らは化けもんレベルだ。
「もうちょい近いとこでやってると思ってたんだけど皆居ないみたいだな
ネギはもう少し時間かかるからオレ達だけでみんなのとこ行ってるか」
「それもそうだな」
まぁ、こいつ等に合わせてやるってのも面白いかもしれない。
いつも合わせるってのは御免だけどな。