side―衛宮士郎―
仁が「ちぅちぅのホームページ見たいからパソコン買いにいこーぜ」、
と言い出したためパソコンを買って、俺達は帰宅中。
パソコンは店の人が運んでくれるそうだ、サービスがいいな。
それとちぅちぅ又はちぅ、って言うのは長谷川さんのことらしい。
あのパーティーの日から仁は長谷川さんのことをちぅと呼んでいるが、
そんなあだ名で呼んでて恥ずかしくないのかな。
「む、SPらしき人ハケーン」
仁が指す前方には黒スーツの20代ぐらいの人達が何か……
……いや、誰かを探してるところみたいだ。
「木乃香お嬢さま〜何処ですか〜?」
黒スーツの人はこのかちゃんの名前を呼び、辺りをキョロキョロとしている。
「うーん、勝手にお見合いの縁談が決められて逃げ出したのかな?」
「じぃさんのことだからそうだろ。士郎頑張れ! このかにフラグ立てるチャ――」
「変な事を考えてるのはこの頭か?」
仁の頭にアイアンクローを極め言い放つ。
これはちょっとキツイ仕置きが必要だな。
仁の頭の上にいるチャチャゼロを確保して――
止めの一撃に仁をおもいきり投げ飛ばすっ。
「いつも以上につっこみが厳しいぜ…………」
「間抜ケメ」
無理矢理お見合いっていうのも可哀想だよな。
とにかく、本人にあって聞いてみるのが一番か。
「チャチャゼロは仁の傍に居といてくれ」
仰向けで倒れてる仁の上にチャチャゼロを置く。
「ショウガナイナ」
チャチャゼロも文句ないみたいだし、
仁はこのままほっといてこのかちゃんを探すとしよう。
早速、校舎の近くでこのかちゃんを見つけた……あれじゃぁバレバレだぞ。
着物の裾が飛び出てるし髪の毛と頭の飾りもひょっこり出てる。
「このかちゃん、隠れてるようだがその隠れ方だとすぐ見つかるぞ」
「はわ!? 士郎くんか〜、驚かせんといて〜」
驚かせたつもりはないんだがな。
まぁ、驚いたっていうなら俺が悪いか。
「ごめんこのかちゃん、でも隠れるなら他のところのほうがいいな。
ここだと目立ちすぎる。そうだなぁ、教室が意外と見つかりにくいと思うぞ」
「じゃぁ士郎くん教室連れてってや〜」
「そんなことなら、お安い御用だ」
む、背後に視線と変な気配……
「“―――I am the bone(我が骨子は)」
逃げたか、覗き見とは性質が悪いぞ。
どうせなら正直出てきて欲しいとこだ。
「どうしたん士郎くん? いきなり英語なんて」
「いや、なんでもない」
俺達2人は2−A教室に向かう。
また視線が感じたので視線あるとこに干将を投げておこう。
「誰もいないみたいだな」
「そうやね〜」
2−Aの教室に来たはいいが静まりかえってる。
うーん、何か話さないと気まずいな。
「このかちゃんまた学園長にお見合いさせられたのか?」
「そうなんよ。おじいちゃんすぐお見合いさせたがるからいややわ〜」
俺と仁にもお見合いしないかって言ってたしなぁ。
さすがにこの事はこのかちゃんに言えない。
……何かフォフォフォって幻聴が聞こえたぞ。
「このかちゃんはかわいいから、
早く花嫁姿を学園長は見たいんだろうが、次々とお見合いさせるのはよくないよな」
学園長の考えもわからなくもないが、無理矢理はやはり良くない。
物事には何事も順序ってものが大事だろうに。
「……そ、そや! 士郎くんのこと占ってもええ? ウチ占い研究部の部長なんやで」
む、急に慌ててどうしたんだろ。
……でも、すぐ落ち着いたみたいだな。
それに占いか、折角だからやってもらおうか。
「それじゃあ、お願いしようかな」
このかちゃんは嬉しそうに水晶の玉を取りだし準備する。
む、手をとられたが手相を見るのか。
「ふむふむ、士郎くんは青い髪の男の人にこれからも長いこと一緒にいることになりそうやなぁ」
まんま仁じゃないか。あいつと長いこと一緒にかぁ。
「ついでに士郎のパートナーのことも占ってくれ」
噂をすればなんとやらか、背後に仁が居るよ。
パートナーってそんなこと占ってもなぁ。
「でも、士郎くんのパートナーを占うのは……」
「大丈夫だ、心配しなくても占いだから当たることも外れることもある。
それに過去も大事だが未来を見据えないと良い男になれないぜ!」
うーむ、もっともなことかな。
まぁ占ってもらうのもいいか。
「占ってくれてもいいよこのかちゃん」
「士郎くんがそう言うなら……それじゃあいくえ〜」
さっきよりも気合入ったみたいだな。
『そんな表情もかわいいよな〜』、
……って俺の考えの中に仁の言葉を入れるな。
「ふむふむ、士郎くんの将来のパートナーは裸を少しでも見てしまった人になりそうやなぁ」
このかちゃんが人差し指を立て笑顔で答える。
何故裸……ってか俺が住んでた冬木でもそのようなことあるし、
こっちに至っては2−A全員の風呂場で少し見たような……
「フッ、これぐらいの答えが丁度よくて面白いぜ。謎はつつまれたままってな」
「面白いって言われても困るがな」
そういえば黒スーツの人たちはまだ探してるのかな。
窓、窓っと――まだ居るみたいだ。
学園長の下に付く者だから根気があるよな。
「話は変わるが学園長のとこにいったほうがいい」
「そうか、じゃぁオレはいつ配達人が来てもいいように先に帰ってるぜ」
チャチャゼロをいつも通り頭に乗せた仁が先に教室を出て行く。
「それじゃぁ、黒スーツの人達が来る前に行こうか」
『お前の笑みは女落としスキルが発動することがあるからな。安心させようとしてほぃほぃと使うんじゃねぇよ』
む、仁の声がしたような。幻聴か?
「フォフォフォ、衛宮君にこのか、どうしたのかの?」
「このかちゃんのお見合いを取りやめて欲しい。
お孫さんに迷惑かけるのは駄目ですよ学園長」
頼んではみるがどうだろうな、ちゃんとやめてくれるかな。
「このかが迷惑してるとのう、それならしょうがないの」
電話をとり、何処かに連絡をする学園長、どうやらやめてくれるみたいだ。
学園長にしては意外だけど、あっさりと引き下がったな。
ん、このかちゃんもほっとしてるな。
「残念じゃのぅ。そうじゃこのか、衛宮君とはお見合いしたくないかの?」
くっ! やはり懲りないかこのじいさん!
俺なんかとお見合いしても意味ないじゃないか。
「い、いややわぁおじいちゃん。冗談も大概にしといてえ」
トンカチつっこみ、学園長にクリティカルヒットだ。
かなりの量の血を流してるが……大丈夫か。
「フォフォフォ、このかも良いそうだから衛宮君も考えておいといてくれの」
いや、何故その結論が出る。
「ケケケ、仁ニ良イ報告ガデキルゼ。良カッタナ士郎」
チャチャゼロが学園長の机の下から、学園長によって取り出された。
仁と一緒に帰ったはずなのに……先回りして置いて行きやがったのか。
……今日は寮に戻って大人しく寝るのがいいのかな