side―防人 仁―
中学生をもう一度やり直しとは堪えるが、
このクラスだと飽きそうにないからいいかな。
まず今することは……
「委員長さん、もしかして今日転入生歓迎会とかしようとしてます?」
中学生のはずなのにおかしいぐらいスタイルが良くさらに頭も良い、
この後ショタ伝説の始まりとなる委員長に声をかける。
「え。何故そのことを?」
「実はオレはエスパーだったのさ……って言うわけじゃなくてまぁ雰囲気だね」
というのも嘘だ。そんな雰囲気少しもかもし出してねぇよ。
こういう時に限って何故隠密行動になるんだよこのクラスは。
ネギの時にすぐ歓迎会するということで予想してなかったらわかんなかったぜ。
「えぇっと、できれば来週にして欲しいんですが」
「何か御用事があるのでしょうか?」
「そんなとこだ。来週になればわかる」
首を傾げてるな。
君にとっては来週からハッピーデイってことは言える。
だが、これ以上のことを口に出すとヤバイぜ。
「そういうことでよろしくお願いしますね」
「わかりました。皆さんにもそう言っておきますわ」
うむ、それが良い。何回も歓迎会やってたら今の学生の懐だと厳しいだろう。
まぁ委員長はお金持ちだから全部だせばいいような気がするけど、そういう訳にはいかんからな。
とりあえず、今する事は終わったか。
さて、次にやることは、っと。
「士郎、エヴァの家に寄ってくぞ」
「む、何でだ?」
「これから楽しいことに首を突っ込んで生き残るためにさ」
楽しいことにと強制イベントも混じってるんだけどな。
魔力があるってことは修学旅行の時に狙われる可能性があるってことだ。
士郎と一緒にいれば大丈夫そうだが、オレ自信も強くなる必要があるだろう。
強くなれるかどうかはわからんがな。
「じゃぁエヴァ、家まで案内よろしくな」
「勝手に決めるな貴様ら」
「何と言おうが行くぜ」
オレとエヴァのやりとり見てクラスのやつらがなんかコソコソ言ってるな。
……今の会話だとしょうがないか。一緒に帰ることになってるしなぁ。
フッ、今後みんなが迫ってきてもオレは逃げるから質問攻めはエヴァか士郎にパスだ。
このクラスの女子の相手をするには骨が折れるしさ。
「それで、何の用で来たんだ?」
エヴァの家に到着し、エヴァはソファーに座りいつも通りの足を組んだ偉そうな格好で質問してくる。
「うむ、魔法を教えてくれってのは……駄目か?」
「めんどくさい」
そういうと思ったぜ……。
うーん、子ども先生に教えてもらうか。
けど気が変わったらエヴァの弟子入りした方がなぁ。
エヴァの方が効率よさそうだし、子ども先生だと『あぶぶぶぶ』だからな。
「じゃぁ気が変わったらってことでよろしく。
それと魔法発動体と魔導書みたいのがあれば譲って欲しい。
魔法発動体はリングとかネックレスとかだとさらに嬉しいな」
「注文が多いやつだ。……私は悪い魔法使いだ。それなりの代価はあるのだろうな」
等価交換か。そう来るだろうって事は予測してたぜ。
しかし、何も用意していないと言うか何もない……そうだ!
「士郎の投影した宝……は駄目みたいね」
士郎の顔こえぇよ。
人を勝手に巻き込むなってか?
よし、こうなったらこれしかねーぜ。
「エヴァは囲碁部だったな? 囲碁で決着をつけようじゃないか!」
「フン、私に囲碁で挑むとはな。
私が万が一負けたらさっきの品を渡すとして、
ジンが負けた場合は何を払うのだ?」
「オレと士郎の血ってことでいいか?」
「まぁいいだろう」
ハハハハハ! かかったな金髪ロリっ子め!!
オレが負けることは万が一でもありえん。
囲碁は盤上のゲームでは一番の得意種目だからな!!!
だから士郎よ、勝手に血をやるって言ったが、あまり睨むな……
――――終了。
結果というとオレの勝ちだよね。
「何故貴様なんぞに負けるんだ……」
「それはオレがお前より強かった、唯それだけだ」
フッ、台詞もきまったぜ! 今のオレはすごくカッコいい気がする。
そしてなんて清々しい気分なんだ、神々しい光が天から来るような感じだ。
「くっ、すごく腹立たしいがしょうがない……茶々丸、こいつが言ってたものを持ってこい」
「わかりましたマスター」
これでオレも魔法使いグッズゲットだぜ!
……そういえば士郎は――
チャチャゼロと話してるみたいだ。
チャチャゼロのことだから宝具もっとよこせって感じの会話か?
「お待たせしましたマスター、防人さん」
「ああ、すまないね、絡繰さん」
分厚い本だ。中身は……読めん、何語?
これは士郎に解読してもらうとするか。
魔法発動体は腕輪型か、見た目も上等。
センスがいいアイテムだぜ。
「いいもんもらった、ありがとな」
「貴様が素直に礼とは珍しいな」
「お? 照れてんのか?」
「っ! うっさいこのボケェー!!」
痛い……また無詠唱魔法を使ってくるとは……からかいすぎたぜ。
面白い表情見れたからいいってことにしよう。
「……次は肉体の鍛練だな。別荘借りるぞ」
「コラ、ジン。勝手に次々と決めるな」
「というわけで士郎、相手と指導を頼む」
「いつになく真面目だな。そういうことだったら喜んで引き受けるぞ」
士郎は快く引き受けてくれた。
うむ、まだ日は浅いが最早君は親友クラスだ。
後ろで何か騒いでるのは気にしないことにしよう。
「この身は中学生。とりあえず筋トレが一番か?」
オレにはそれ以外、考えられることがない。
部活も入ってなかったし筋トレなんて体育の授業でしかやったことないがな。
さて、運動神経は並なオレ、何処までいけるか……
「そうだな。まずは腕立て、腹筋、スクワット、背筋100回の10セットといこうか」
「いやそれ無理だから」
この世界に入ったからにはそれぐらい必要なのかもしれないけど、いきなりは無理だろ。
士郎君は何処の超人様ですか?
「じゃぁとりあえずは出来るところまでやってみてくれ」
「はぁ、明日絶対に筋肉痛だな。しょうがない、生きてくために頑張るぜ!」
「ぐ……ぉ……ぅ………もぅ無理」
腕立ての途中で倒れ込む。
だが、体が変わってる所為なのか予想以上に多くできた。
記録は100回の4セット、10セットにはまだまだぜ……
しかもやり方が厳しいのなんのちゃんとした方法でやらんと怒られるわで士郎は鬼コーチでしたよ。
「今まで鍛錬したことないって言ってたからな。上出来な方なのかな?」
「全然駄目だなジン」
「男ナラモウ少シ粘レ、ケケケ」
「防人さんお水です」
士郎にエヴァにチャチャゼロは辛口だぜ。
くっ、体を蹴るなエヴァ。今は体をすごく休めたいんだぞ。
そしてオレを救ってくれるのは茶々丸、君だけだな。
「1時間休んだら次は試合形式で訓練するぞ」
「うっ、アイアイサー」
これもオレが生きていき尚且つイベントになんとなく参加するためだ。
頑張れオレ、負けるなオレ。栄光をこの手に掴むのだ!
「――――試合形式ってどういうことやるんだ?」
ふと、思う。試合形式って恐ろしい感じがどんどんしてくる。
「まずは竹刀、慣れていくにつれて剣、二刀、槍、斧とかいろんな武器でやっていくつもりだ」
段々と物騒な武器を使っていくってことか。
だが士郎といる限り武器には困らなくていい。
その分つらそうな予感がするけどね……
「ある程度力がついたら私達も貴様をいじめ……いや、鍛えるために参加してやろう」
「絶対にいじめるって言おうとしたなコノヤロー」
エヴァのやつ邪悪な笑みをしやがって。
実戦の前に訓練で生きていけるのかどうか心配になってきたぜ。
「……士郎は全部の武器を使えるけど得意なのは短剣の2刀なんだよな?」
「ああ、一番使うのが干将・莫耶だしな」
「オレの合ってる武器ってなんだろうなぁ。
武器と相性が合わなくて徒手空拳ってなったら主人公と被るから嫌だな」
「? まぁ訓練していくうちに相性がいいやつ見つかるだろう」
本当に武器に困らんよな。
エヴァも色々持ってるだろうけどさ。
さて、どんな武器自分に合ってるのか。
「ジンは話せる元気がありあまってるくらいだから始めていいのではないかシロウ?」
「それもそうだな、時間もったいないし」
エヴァの悪魔発言により休憩時間を大幅に削減されたよ。
地獄の特訓だなこれは、ネギの訓練はどんなんだったんだろうなぁ。
すごく気になるぜ。そしてネギとは心の友になれるかもしれん。
「とりあえずこの竹刀を持ってくれ、まずは攻めの訓練だ。俺を殺す気でかかってこい」
士郎が2本竹刀を投影し片方をオレに投げ渡す。
士郎の持ってる竹刀に虎のストラップついてないか?
……気のせいか。
「確かに殺す気じゃないと一方的にやられるだけだろうしな、行くぞ士郎!」
竹刀を手に持ち一気に士郎まで駆ける。
筋トレやったばかりか体が重いが気にしたら駄目だな。
士郎の頭上目掛け一閃、オレの出せる力の全てで振りきる―――――
―――――が当然のように受け流され、オレの横腹に士郎の竹刀を入れられた。
「ぐっ………」
「そうだ、今みたいに必殺の心構えで打ってこい」
言われなくても、わかってる。
と言いたいが声が出んな。
――胴を目掛け横に払うがかわされ一撃をもらう。
一瞬、眩暈がしてよろけたが、堪えて首を目掛けて突く――
が士郎は竹刀を立たせわずかに軌道を逸らされまた横腹に。
何度も攻めるが……とても敵わないな……
うっ……意識が………………
side―エヴァンジェリン―
フフ、ジンのやつはシロウにぼこぼこにされている。
それにしてもやつは粘るな。前までは一般人と言っていたが。
……む、気絶したか。まだまだ甘いな。
「どうだシロウこいつを一方的に攻撃した気持ちは?」
「うーん、いつのも仁にはなく真面目で驚きってやつかな」
確かにいつもはふざけた行動をとるやつだからな。
先ほどの真剣な表情は余りにも不似合いだ。
そうだ、気絶してるしいい機会だから血を貰ってやろうか。
……………ほぅ美味い血だな。
フフフ、これからも気絶したら吸ってやるとしよう。
「……はっ…うっ………」
変な声を出すなジン……。
シロウが白い目でこっちを見てるであろう。
「……これくらいで許してやるとするか」
かなり青ざめた顔になってるようだが大丈夫だろう。
こいつのしぶとさは人一倍あるようだしな。
「シロウの血も飲んでみたいがどうだ?」
「俺の血は飲めたものじゃないと思うぞ」
フ、まぁ良い。
久々に美味い血が飲めたのだしな。
これぐらいで我慢するとしよう。
「茶々丸、こいつの体を拭いてベットに連れていってやれ」
「了解しましたマスター」
「女の子がそういうことするもんじゃないぞ、俺がやるから絡繰さんは休んでてくれ」
茶々丸とシロウがどっちが拭くかと揉めてるな。
シロウの奴はとことこん茶々丸に優しいみたいだ。
さて、私は風呂に入って寝るとしようか。
side―防人仁―
うぅ……頭が痛い……寝覚めは最悪だ。
なんか血が足りねぇって感じだぜ。
士郎にぼこぼこにされたせいで血が流れすぎたってことか?
いくら士郎でも竹刀だったからそれほど流れなかったと思うんだけど……
ていうかまた、いつの間にか別荘から出てたのね。長時間の気絶かよ。
「おはよう、仁」
「おはよう士郎…ってもうそんな時間か学校は?」
「まだ5時だから時間はある、大丈夫だ」
窓から外を見て確認する。確かに日は全然昇ってない。
それにしても5時前から起きてるとは早起きすぎないか士郎よ。
「何か血が足りないみたいだ。朝からだけど肉料理とかを所望する」
苦笑いしてるな、やはりお前が犯人だからか?
むー、オレの第六感が違うと言ってるが……
まぁいいや、ご飯が出来るの待つとしようか。
「あ、絡繰さんおはよう」
「おはようございます、防人さん。あの……怪我は大丈夫でしょうか?」
「一晩眠ったら大分いい感じだから、とりあえず今日学校行くのに問題はない」
中身はボロボロ、筋肉痛ひでぇだけどな。
フッ、茶々丸は見てるだけでオレの心が癒してくれるなぁ。
何なんでしょう、そういうスキルみたいのがあるのか。
「そうですか、それでは私は衛宮さんのお手伝いをしてきます」
「楽しみに朝ご飯待ってる」
ご飯できるまで時間あるだろうなぁ。
エヴァは寝てるだろうしチャチャゼロと話でもするか。
何処にいるのか……
「オレヲ探シテルノカ仁?」
「その通りだ、タイミングいいな。ということで暇だから話相手になってくれ」
早速昨日の訓練のことや好みの武器等々、色々な話をすることにしよう。
「そろそろご飯できるからエヴァ呼んできてくれ」
「おぅ、わかった」
良い匂いが部屋に充満してきてるぜ。
早くご飯食べるためにも急がなければならない。
チャチャゼロを抱っこしてっとホントに愛らしい人形だよなぁ。ウフフフ。
「仁、気色悪イゾ」
「うっ、すまねーな」
さてと、金髪のお姫様を起こしに行かないとな。
着いたはいいが、気持ち良さそうに寝てるな。どう起こそうかねぇ。
うーむうーむ……よし! これでいこう。
まずはチャチャゼロを利き腕じゃない方で抱き、利き手の中指を折り曲げてと、
中指の爪の部分を親指で押さえ力を溜め、敵の額を目掛けて―――
「打つべし!!!」
「はぶぅ!」
エヴァは奇声をあげて呻き声をあげる。
見るからにクリーンヒットだぜ。
「おはようエヴァ」
エヴァがデコを押さえて唸ってる中、
オレはエヴァに出来る限りのさわやかな笑顔をと言葉を送る。
「貴様ー! そんな起こし方があるかぁ!!」
「いつまでも寝てるからさ」
吸血鬼でももうちょっと早く起きないとな、朝飯食えなくなるぜ。
朝飯は一日の活力、昔のオレの場合の朝はコンビニおにぎり〜。
「飯できるから、着替えて下に来いよ」
オレは一足先に居間に向かう。
着替えを覗こうなんという意思はもちろんないぜ。
そこまでオレは落ちぶれてないハズだ。
それより早く飯食って血にしねぇとだめだな。
「フッフッフごは〜んごは〜ん」
おぉぅさっきより良い匂いがしてきたぞ。
む、これはサーロインなステーキ?
朝っぱらからなんて贅沢なモンを出してんだ。
「これは……昨日食べ忘れて。今日の夜にゆっくりと味わおうと冷凍していたやつではないか!」
寝巻きから制服姿に変わったエヴァがオレの後から料理を見て吼えた。
「エヴァの食い忘れか。おいしいものは1人で食べるのは良くないぜ。一緒にいただきま〜すだ」
納得いかない顔してるな。
そういうところは子どもっぽい――
考えてること読まれたのか睨みつけられたぜ。
これ以上は変なこと考えるのやめとこう。
む、士郎、ワイン出すってどういうことだ。
お前は元は20歳以上だとしても現在の体は未成年だぞ。
……小さいこと気にしてちゃ駄目ってことか!
オレの真似して未成年はお酒飲んじゃ駄目だぜ。
「このサラダ置いてと、よし。エヴァも席についてくれ」
士郎に言われ渋々エヴァも自分の席に座る。
いつの間にかご飯時は士郎の発言が一番強くなったみたいだな。
「では、いただきます」
「「「いただきます」」」
士郎に合わせオレ、エヴァ、茶々丸もちゃんと言う。
茶々丸はいい子だからわかるとして、エヴァもなんで言うようになったんだろう。
やはりご飯時の士郎パワーかなぁ。
とにかく飯を食わねば体がもたねぇぜ。
もぅ7時半すぎ、オレ達4人とチャチャゼロで登校中ですでに学校の前だ。
言い忘れてたがさっき食べた料理はさすが士郎と絡繰さんだと言っておこう。
む? なんか視線がオレと士郎に集まってるな。どういうことだ?
「貴様らが男、それにジン貴様の頭の上のことをよく考えてみろ」
「エヴァ、じぃさんみたいに人の心の中を読むのは良くないぞ」
食事前にも一度読まれた記憶があるな。
妖怪じぃさんのような極悪非道はいけないぜ。
……あれ? 魔法使えないからもしかして表情で読まれたのか?
それなら鋭すぎる……注意しないといけないな。
「何でチャチャゼロを連れてきたんだ仁?」
「つまんない授業中の時の話し相手さ」
「オレモ1人ダト暇ダカラナ」
親指をグッと士郎に立ててやる。
チャチャゼロと話してると和むからなぁ。
おっと、2−Aに着いたな。
「次のイベントまで後6日。これからも頑張るとしようか」