side―衛宮士郎―


先日の風呂場での事件はネギ君と仁のお陰で逃げられた。
いや、生け贄にしたため、と言ったほうが正しいかもな……
そして仁はエヴァにホレ薬を飲ませたため、その詫びとして1週間血を吸わせることにしたそうだ。
仁はエヴァに血を吸わせれすぎてるせいなのか、授業中はほとんど寝てる。
ついでに、チャチャゼロの相手は1週間経つまで俺ということになってる。

 

 

 

さて、次の時間は屋上でバレーボールか、
仁がだるいせいで体育をやらないとなると女の子ばっかりだからやりにくいよな。
学園長に言われたから女子の学校に居るのはしょうがないのかも知れないが、
本当に居て大丈夫なのかな……ああ、考えてる内に時間がきてしまうな。
言うだけ無駄そうだけど仁にやるかどうか聞いとこう。

「次はバレーだが大丈夫なのか?」

「はっきり言って無理だぁ」

やはりだめか。毎日、沢山の血を吸われてるんだもんな。
仁の顔が青いし……髪の色と同化しそうだぞ。

「じゃぁ、とにかく女子が着替えそうだから出て行こう」

堂々と皆が着替えをする中にいたら変態だ。
早く退出して、俺たちは授業に遅れないよう、
着替えるために学園長室借りないとな。

 

 

 


むぅ、仁が非常に元気ないせいで着替え遅く授業に遅れたぞ。
ん? 2−Aが使う予定の場に居るのは高等部の女子?

「はっ! これは面白イベント、出たいが血が足りなくて力が出ない……」

すごく残念そうに言ってるな。
どんどんしょんぼりしてってるし。

……ふむ、争い事の原因は場所の取り合いか。
お、ネギ君が両クラス対抗でスポーツで決めようと仲裁してる。
少し先生らしくなってきたな。

種目はドッジボールで人数を2−Aが倍にしてもいいと。
倍になったとこでそんなに得はないような気がするが。

「悔しいが今のオレでは無力だ、今回は見逃そう」

「賢明な判断だ」

俺と仁はと見学組の方に移動する。
見学してるのは、龍宮さん、桜咲さん、長瀬さん、チア部の3人、それにエヴァと絡繰さん、
半分以上はかなりの戦力になる人達じゃないか。 

「エヴァも絡繰さんも出ないのか?」

眠そうなエヴァと大砲のような筒をセットしてる絡繰さんに声をかける。
他の人でも良いが今の所、この二人が一番声をかけ易いからな。

「めんどくさい」

「マスターが出ないのなら私も出ません」

エヴァは今の仁と同じくらいだるそうに言い、
絡繰さんはいつも通りの返事だ。
まぁ、頑張れ2−A〜、陰ながらだが応援してるぞ。

 

 

 

 

試合の結果、一時はかなり押されてたが2−Aが勝った。
後半の内容は2−A反則だろ。ドッジボールでリボン使うとかボール蹴るとか間違ってるぞ。
ん? 女子高生がボールを構えて…………ッ!


「―――投影、開始トレース・オン


周りに聞こえないように呟き弓矢を投影。
さらに周囲の皆の視界から外れるように跳ぶ。
そして、俺が狙うは女子高生が神楽坂さんを狙い放たれるボール。


中る事はすでに見えている。よってこの矢が外れる道理はない!


放った矢は女子高生が投げてすぐのボールを貫通。
間に合った。いきなりボールが破裂してみんなびびってるけど。

「お人好しだなシロウ。あんなことせずともぼーやが解決すると思うがな」

エヴァに言われてみればそうだが、念には念をってやつだ。
ん、なんか視線が感じる……長瀬さんにに龍宮さんに桜咲さんか。
学園の中なのに皆さん戦闘者の目ですね……

「仁ではないが、この場は撤退することにしよう」

「オレがいっつもさぼってるみたいに言うなよ」

そういえば仁は授業さぼることはしないか。
変なとこでちゃんとやってるな。
いや、別に変なとこって訳じゃないか。
……俺が一人なのも心細いし連れていこう。

「仁も行くぞ、別荘で修行だ」

「うっ、鬼コーチめぇ」

泣いた真似して駄々こねてるが引きずって行くか。

「という訳でエヴァの別荘借りるぞ」

「勝手にしろ」

快く了承も得たことだし、早速行こう。
む、仁に似てきてるような……?

 

 

 

 

 

「さて、トレーニングも終わったし少し休んだら試合形式でいつも通り行くぞ」

「体はボロボロ、心はズタズタだよぉ」

泣き言が多いな。
それに血が足りないせいか体の動きが悪い。
だが、鍛練中なので問答無用だ。

「大体の武器は使ったと思うが、何が一番自分と合ったと思ってる?」

「やはり剣かな、槍が好きだったんだが長すぎて使いづらいし、二刀も格好良いと思ったが扱いづらかったぜ」

「オレカラ見テモ、剣ノ時ガ一番マトモニ見エタナ」

俺から見てもそう思えたな。
他の武器の時の動きも中々のモノだが、剣の時が一番優れていた。

……ああ……………剣…………か…………

いや、今は仁の修行のことを考えないとな。

「そういえば、魔法は使えるようになったのか?」

「全然ダメだ、初級魔法の火を灯すやつもできん」

初級魔法ができないとはまるで昔の俺みたいだ。
そういえば仁は俺と同じく異世界から来たんだったな。

「仁も俺も異世界人だし俺の魔術はこの世界と違うから、
仁の魔法もこの世界のものと違うのかもしれないぞ」

「うっ、それは言えてる。今までの努力が無駄だってことかぁ!?」

仁は両手を頭に抱えて唸ってる。
勝手が違うかもしれないとわかっただけで成果はあると思うけどな。

「じゃあ、剣の練習に入る」

「もう休憩時間終わりかよっ」

「終ワッタラオレノ相手ダカラナ」

まずは絡繰さん以上の強さになってもらわないとな。

「行くぞ! 構えろ仁!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

  side―ネギ・スプリングフィールド―


この前のドッチボールの時は大変でしたが、何とか解決できました。
ですが、士郎さんと仁さんが途中でいなくなっていたみたいです。
絡繰さんが言うには具合悪いとの事でした。
ですが、翌日には二人とも登校してきたので直ったようで安心しましたね。

着任してから1週間ほどですが、
今は先生として少しずつ2−Aの皆さんに受け入れられてるみたいです。
この調子でどんどん頑張っていかないとですね。

 

 

「何か他のクラスの皆さんピリピリしてますね」

他のクラスの方々を見ると、
お友達同士だと思いますが何かをしているようです。
あれは、勉強を互いに教えあってるのでしょうか。

「そろそろ中等部の期末テストが近いからね」

「来週の月曜からだよネギ君」

一緒に歩いていた桜子さんとゆーなさんが僕の疑問について答えてくれた。
それにしても学期末テストですかあ、大変だあ。
皆さん頑張って下さ……

「……って2−Aもそうなのでは!?」

「うん、そーだよー」

はぅぅ、もうすぐテストだって知らなかった。
タカミチとはそれほど会ってないから教えてもらえなかったし……

「まぁまぁ、ネギ君。気楽にやってこー」

「そうそう。ウチのクラスったら毎回最下位だからね」

はぅ、二人ともそんなに明るく言わなくても。
ずーっと最下位ってかなりやばいのでは……
いえ! こういう時こそ生徒のために先生として努力しないと。

――ネギ先生?」

「あ、はい!」

僕の後ろからの声。
振り向くとしずな先生が紙を持って僕に尋ねてきていた。

「学園長先生がこれをあなたにって」

しずな先生がそう言いながら持っていた紙を僕に渡す。
その紙に書き上げられていたものは
――

「……僕への最終課題!?」

今頃になって最終課題が出るなんて。
中身は、悪のドラゴン退治!?
それとも攻撃魔法200個取得とか……

「フハハハハ、ネギ困ってるな!」

この口調に声と丁度いいタイミングの出方をする人は――

「仁さ〜〜〜ん、どうしましょう〜〜」

「とにかく開封だ。妖怪じじぃとて無茶なことは書かんはずだから大丈夫だ」

た、確かにその通りですね。
けど仁さんの笑みは何なんでしょうか?
どこか違和感が……

「……とりあえず開けてみましょう」


【次の定期試験でニ-Aが最下位脱出したら先生にしてあげる】


「な、なーんだ。簡単そうじゃないですか〜」

魔法関連ではありませんでした。
これなら僕にも何とかなりそう――あ、仁さんの笑みがさっきより深くなってるです。

「ネギ君本物の先生になるんだ!?」

「あっ、見ちゃダメですよお」

これはなるべく、多くの人に見せない方がいいのかな。
とにかく、この場から離れて次のHRのための準備をしましょう。

 

「今日のHRは大・勉強会をしたいと思います! 
実はうちのクラスが最下位脱出できないと大変なことになるので、みなさん頑張って猛勉強しましょう〜」

本日のHRの時間、テストで最下位を抜けるためには、やはり勉強をしないことには始まりません。
もちろん僕も皆さんに協力するという事で勉強会を開くのが一番効率がいいでしょう。
皆さんには頑張ってもらわないと、本当に僕が大変な事に……

「は〜い、提案提案」

桜子さんは元気よく手をあげている。
きっと何か効率よく勉強をする案を思いついたんでしょう。

「はい! 桜子さん」

「では、お題は『英単語野球拳』がいいと思いま〜す!」

むむ、今の桜子さんの言葉でクラスがやる気になったみたいです。
野球を取り入れた勉強ですか、日本では面白い勉強方法をやるんですね。
ここは生徒の自主性を踏まえて。

「じゃあそれで行きましょう」

それでは少しみなさんに任せて、僕は2−Aの成績表を見てみましょうか。
……むむ、学年トップクラスが3人もいる。
それに、優秀な成績を取ってる人も沢山いますが……
バカレンジャーの皆さんと合わせてプラスマイナス0のようですね。
仁さんと士郎さんはデータがないみたいですが、聞く限りでは大丈夫でしょう。
やはり、バカレンジャーの方々が危険で
――

――うぷ、え?」

突然、白い布のようなモノが僕の頭に落ちてきた。
これはどこで見たようなことがあるような……って、

「な、何をやってるんですかー!?」

見渡すと、バカレンジャーの5人を中心として服を着てないです。
そして仁さんと士郎さんはアイマスクをして中心に。
特に仁さんがはしゃいでます。

「ネギ、気づくのが遅いぞ。野球拳とはすなわち、食うか食われるかの命をかけた勝負だ!」

あわわ、そんな大変なことだったなんて、僕が知らなかったばかりに……
このまま行くとバカレンジャーの皆さんが取って食べられてしまうのでしょうか?
それに、この調子だと僕の立派な魔法使いへの道が……

「はっ、そうだ。この禁断の魔法を使えば3日間だけ頭を良くすることができる。
副作用で1ヶ月ほどパーになるけど仕方がない!!」

「コラーッ!!ヤメヤメッ!」

はぅ、アスナさん痛いですぅ。
いきなりぶたなくても……

「魔法に頼らなくても私だって頑張ってるだから、
そんな風に中途半端な気持ちでやると教えられる生徒が迷惑だと思うよ」

アスナさんが僕にノートを渡してきた。
中身を見てみると……アスナさんの沢山勉強した証があります。
内容の方は良いとは言えませんが、アスナさんは頑張ってくれてたんですね。
先生として僕は嬉しいです。僕もこのままでは駄目、かな。

 

HRも終わり、今は放課後。
僕はある考えに至り林の中で行動を取ることにした。
それは、期末テストまで魔法を封印しようということ。
アスナさんだって頑張っているのに教師の僕が魔法にばっかり頼るのは良くないことです。


―――誓約の三本の黒い糸よ――――我に三日間の誓約を――――

 
簡単な呪文を唱える。
今の呪文は僕の魔法を3日間封印するモノ。
これで魔法は使えないけど、その分は僕自身の力で生徒とぶつかろうと思う。
ということで、早く戻って明日のことを考えないと。

 

 

 

 

 

「ネギ! 図書館島に行くから着いてきて」

「はぅ、眠いですアスナさん」

今の時刻はかなり遅い時間なのに。
色々と考え事をしていて、少々疲れているのですが……
アスナさんは気にせずに僕の襟首を掴んで引きずってます。
力がすごくて抜け出せないよ〜。

 

為すがままにされて図書館島前に着きました。
図書館島入り口前に居るのはバカレンジャーのアスナさん、くーふぇさん、楓さん、まき絵さん、夕映さん。
それとハルナさん、このかさん、のどかさんの僕を入れて9人です。
眠気がひどいですが、皆さんは何か考えがあるのでしょう。

「ここ危ないみたいだから私達を魔法の力で守ってねネギ」

「え、魔法なら封印しちゃいましたよ」

アスナさんすごい顔してるなあ。
でも魔法なしでも先生、それと紳士としてみなさんをお守りしないといけないですね。
夜も遅いことですし頑張らないとな。

 

あれ? 夜中に抜け出すのは先生として失格なのでは……

 

 

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