side―衛宮士郎―


昨日はエヴァとネギ君の決闘があった。
決闘の終わりにエヴァが落ちるという出来事があったので、
彼氏だと思っていた仁をエヴァを救うため、エヴァに向かって思いっきり投げた。

 その後色々あってエヴァの三連撃を食らってしまい、
しばらく気絶してたみたいで、部屋に戻ってから仁に何故殴られたのかを聞くと、
仁とエヴァは別に付き合ってはいないと言うことだ。
俺の早とちりのせいでエヴァを怒らせたみたいだから反省しようと思う。

 

 

「仁、コーヒーでも飲みに行かないか?」

「別にいいが、急だな」

「酒ジャネーノカ」

 学校の昼休み、たまには店によってその技術を盗み……
いや、レシピ等を教えてもらい自分の腕を上げようと俺はしている。
ここの学園のレベルはかなり高いほうだとわかったからだ。
俺は日本茶や紅茶の入れ方は学んだがコーヒーはまだわからないからな。

 オレ達が着いた所はオープンカフェ、早速レジまで行く。

「ブルマンNo.1を所望する」

「俺も同じやつで」

 よくわからないので仁に合わせ同じ物を注文。
むむ、店員の手際が良いな。

「あ、士郎さんに仁さん」

 背後から名前を呼ばれたので振り返ると居たのはネギ君と神楽坂さんだ。

「何という遭遇率……今後は聖水をかけて歩くか」

 聖水って、悪魔とかじゃないんだから効かないだろ。

「じゃあ俺は先に席を確保しておくぞ」

 四人分座れる席の方がいいのかな?
えーっと……お、六人くらい座れる席があるな。
では席を確保
――

「む……シロウか」

「士郎さんこんにちは」

 ――しようとするとエヴァと茶々丸が出現。
コーヒー持ってるってことは、同じところで先に頼んだってことだよな。

「こんにちは二人とも。すぐ仁達が来るから一緒のとこに座ろうか」

 仁の言う通り確かにすごい遭遇率だ。聖水ってエヴァに効くのかな?

「ジンにぼーやに神楽坂明日菜か……しょうがない同席してやる」

「マスターがよろしいのなら私も」

 先にエヴァと茶々丸が座り、俺も座る。

 仁達は――コーヒー受け取ったみたいだな、手を振って呼んでと。

「こんにちはエヴァンジェリンさん、茶々丸さん」

「聞いたわよ、エヴァちゃんネギのお父さんのこと好きだって、
仁と付き合ってるのに二股なんて駄目じゃない」

 エヴァが口に含んでたコーヒーを吹き出して仁にかかったぞ。
神楽坂さんは二人のことの関係を誤解したままだったのか。

「えっ、そうだったんですか!? 仁さん、頑張ってください!」

「チガーウ! 私とジンなど付き合っておらん!」

 ネギ君の追い討ちにエヴァがとうとう切れたな。
俺はもう、そのことは口に出さないぞ。痛いのは嫌だからな。

「オレの制服が……アスナにネギ、オレとエヴァは付き合っていないぞ」

「えっ、そうだったの? フーン」

 神楽坂さんが納得してるようで、まだ疑ってるな。
それ以上言うと命が危ないぞ。

「くっ、まぁいい。……それにサウザンドマスターは10年前に死んだ」

「あっ……」

 エヴァの言葉を聞き、仁が声を上げて目を泳がせてる。
そしてかなりの冷や汗かいてるぞ。

「ジン、貴様何かわかるのか?」

「自分は何も知らないであります大佐! 後の説明はネギ少佐に全てを任せますので、
私とチャチャゼロ軍曹はここで失礼します。敬礼!」

 早口で説明し、綺麗にビシっと敬礼。
その後慌ててコーヒーを持って離脱して行く。

「……ぼーやはサウザンドマスターの行方を知ってるのか?」

 エヴァは仁に聞くのを諦めたみたいだ。
仁の逃げ足が予想以上に速いから納得だけどな。



 ふむ、会話を聞いていると、
ネギ君の父親のサウザンドマスターは公に10年前に死亡が確認された事になっているが、
6年前にネギ君は父親と会っていて、その時にネギ君がいつも持ちあるいている、身の丈より長い杖をもらった。
ということか、6年前から今までの詳細はわからないみたいだが、この流れだと生存の可能性も高いな。

「そうか、サウザンドマスターが生きていると……ぼーや、
京都に行ってみるといい、手掛りがあるかも知れんぞ」

 エヴァは嬉しそうなんだが、何処か引っかかる表情だな。
ネギ君は父親の手掛りがあると知ってはしゃいでる。
それにしても京都か、修学旅行ももうすぐだ。
まだネギ君は行き先を知ってないようだが丁度良かったな。


 

「えーと皆さん、来週から僕達3−Aは京都・奈良に行くそーで!」

 学校のHR中、ネギ君が嬉しそうに修学旅行地を発表をする。
このクラスは留学生の人数が多いということもあって、
日本の観光名所ということで選んだそうだ。

 それよりも―――

「仁、オープンカフェでのエヴァの件はどう抑えたんだ?」

「それは秘密さ」

 あのエヴァを穏便に済ませたのだからすごく気になるぞ。

 む、しずな先生が教室に来たな。

「ネギ先生、衛宮君、防人君。学園長先生がお呼びですよ」

 俺を含めてこの3人を呼ぶとは魔法絡みのことか。

 

 

「えっ、修学旅行の京都行きは中止〜!?」

 学園長室にて、ネギ君にとっては最悪の言葉を放たれ、
ネギ君は壁に寄りかかってダークな気分になってる。

「じぃさん、前置きはいいから早く全部説明してくれ」

「フォフォフォ、そう急かすでない」

 学園長の説明によると、京都行き中止になりかけた訳は、
京都にある関西呪術協会が学園長が理事をしている関東魔法協会のことを良く思ってないようで、
今回の旅行に魔法先生が一人混じっていると言うと、難色を示したそうだ。

「オレ達のことは言ってねぇだろうな? 詠春にだけは言っていいけどよ」

「そう言うと思ったから先方には話しおらんよ、防人君が今言った人物にだけには説明しといておいたがのう」

「ならいい」

 学園長も気が利くな、仁が言ってたように狸爺さんではあるが……
ネギ君が何か言いたそうな顔をしてる。
多分詠春って人の事だと思うが、いきなり出てきた名前だからな。
俺もわからないしさ。

「ならオレ達はもうここに居る理由はないな行くぞ士郎。
……それとじぃさん修学旅行3日目前はよく寝ておけよ」

 意味深な言葉を残した仁と俺とチャチャゼロは学園長室を――

「忘れてたぜ、オレと士郎は修学旅行中は昼でも夜でも自由に行動できるよう手配しといてくれ。
特に新田のおやっさんが五月蝿そうだからよろしくな、じぃさん」

 ――仁は出る前に俺達に特権をくれと言って、それから退出。
そんなVIP扱いな事をやっていいのかよ。
見る限り、当たり前で自分は気にしてないって感じだな……

 

 

 

 

 学園長室での京都のことの説明されてから何日か経過し、もう明後日には修学旅行日だ。
という訳で俺達は修学旅行に持ってくものや着ていくものを買うために出かけている。

「む、前方500mの所にネギ君とこのかちゃんがいるぞ」

 私服姿のネギ君とこのかちゃんが二人で買い物してる。
楽しそうに買い物をしてるみたいだな。

「目が良すぎだ士郎。デートって訳じゃねぇな、近くによってみるか」

 まだ俺達の買い物はしてないのだが間に合うのか……

 とりあえず仁の言う通りに近づためネギ君達の10m手前の位置まで来た。

「ネギとこのかがかなり良い雰囲気になってるぜ。
このままじゃ士郎の麻帆良ハーレムルートがピン」

「アホな事言ってるとお前の頭がヒート○ンドするぞ」

 言い切る前に仁の頭をアイアンクロー。
体の強化はしっかり忘れない。

「士郎がそういう事を二度もやるとは……」

「ケケケ、プチットイッチマウノカ」

 ふむ、仁の気力が落ちたな。反省したみたいだし許してやるか。
ん? 誰かが俺と仁の後ろに隠れてるな。

「……釘宮さんに椎名さんに柿崎さん、人の後ろに隠れてなにやってるんですか」

「おおぅ!? 衛宮に防人! 何でこんなところに!」

 俺の言葉に柿崎さんが大げさな反応で返す。
聞いてるのはこっちだったんだが、そんなこと気にしてないよな。

「オレ達は修学旅行の買い物さ、お前たちはその様子だとネギとこのかを追いかけて楽しもうってことか」

 仁の台詞に三人は図星のようで同じタイミングで一歩後ずさる。
息がバッチリ合うとはさすが麻帆良チアリーディング部だ。

「じゃぁオレ達も参加するか」

「俺達の買い物はどうするんだよ」

「それは後をつけながらで十分さ」

 てきとうすぎるぞ、仁……

 

 

  side―防人 仁―


 オレ達はチア部の三人とは別行動で追跡することにした。

「士郎、アスナの誕生日プレゼントは何がいいと思う?」

「いきなりだな。
ふむ、その質問をするってことはあの二人は神楽坂さんの誕生日プレゼント選んでるのか。
神楽坂さんは渋い人好きってこと以外俺はわからないしセンスもないから、
俺に聞くのは間違いってやつだ」

 うーむ、士郎がセンスないのは……その通りか。
何せ毎日同じふ――――言い切れない。
前にもこんなことあったような気がするぜ。

「では先にオレ達の着る服を買ってから決めるか、士郎はネギ達見失わないようにしてくれよ。
最終的にネギ達とアスナが合流するからな」

「了解した」

 オレは最終的にネギ達の行く所はわからんからな。
まずはジーンズ何着か買っとくか。

 この店がいい感じかな、服専門店って安直な名前だがいいだろう。
オレって今青髪だから、どんな服合うんだ……
ま、じぃさんから金は腐るほど貰ってるし、買って後から着て合わせるか。
では手当たりしだい取ってと、レジに乗せて。

「早急に会計を頼む」

「は、はい」

 店員が山のように置かれた服をピッピッと値段を読み込んでいく。

「……87万3200円になりますが本当によろしいでしょうか?」

「買イスギダ、仁」

「フッ、ではこのカードで。後で服は取りにくるから置いといてくれ、ちゃんと袋に詰め込んでくれよ」

 ゴールド〜なカードで支払いを済ませ、外で待たせてた士郎の所に戻る。
カードはいつも士郎が管理しているがオレが無駄遣いしないで買い物してくるという事で貸してくれた。
こんな買い物の仕方一度はやってみたかったんだよねぇ。

「よし、オレ達の買い物終わりだ。ではアスナのプレゼント買いに行こうか」

「随分早いな……」

 勿論金がなかったらこんなに早くは済まない。
試着とかして最低限に絞らないと学生はやっていけないからな。

「じゃあ早速本屋にレッツゴー!」

 オレの買うものは決まっているぜ!

 

 某書店、計画を遂行するために到着。

「では、カッコいいおじさんの表紙の写真集と外人の美少年が沢山乗ってる写真集を買おう」

「うっ……それはひどくないか仁……」

 フッフッフ、気づいたようだな士郎。
写真集を手に取り、後はハサミと強力なボンドと一応ホッチキス、
さらにプレゼント用の包装紙を買って準備万端。

 会計を支払い、計3セットの6冊の写真集が我が手にある。
店員が変な顔で見てるのも計画のためには気にしないぜ。

「これもアスナが素直になるためさ」

 早速、悪戯心もとい優しさの心で工作開始だ。
昔から毎回最高点の美術評価の力を発揮するぜ!

 


 チア部三人と合流し、草の中でこのかがネギを膝枕してるところを5人で眺めている。

「ネギが気持ちよさそうに寝てるな」

「くぅ〜〜いたいけな男の子を膝枕なんて羨ましいぃ」

 柿崎が悔しそうに言ってるな。
膝枕してる方は嬉しいのか……うーむ、女の考えてることなんてわからん。

 おっ、このかが疲れよ飛んでけと言うと指が光ったな。
これが初めての魔力行使だったかな。
という事はオレの知ってる通りカモのやつ中途半端な仮契約させたってことか。

「あ……このか!」

 何か思いついたのかポンっと片手を皿にして手を叩いたこのかが、
ネギにキスしようとしてたとこを見て、チア部の三人の誰かが叫び草の中から飛び出す。

「やっぱやーめた。いくら子どもでも寝てるとこの唇奪うのはアカンな」

 キスしてパクティオカード欲しいんだろうが、さすがはこのか。
良心が残ってるようでちゃんとキスをするのはやめる。

 道の先でアスナが呆然とし、委員長が半泣き状態で顔を真っ赤ににしてやって来たな。
膝枕を私がしたいですわって、そんな大声で言ったら変態だぜ委員長。

 慌しい場になったためネギが起きる。

 皆の出現に驚いてるな。
フム、アスナに誕生日プレゼントと言って渡したか。

「オレ達も出るとしよう」

 オレと士郎は草の中から出て皆と顔を合わす。

「アスナ、オレ達からはこのプレゼントだ。中身を見ても怒らず大事にとっとけ、きっとわかる日がくるさ」

「ケケケ、良イモンダゼ」

「俺は何もしてないからな……」

 自分だけ良い子ぶるなよ士郎〜。
もし殴られようとも君は巻き添えだぜ。

「オレ達は帰る。皆も疲れは残さないようにしろよぉ」

「では皆さん、また明日にでも」

 さて、服を取りに行かないとなぁ。
旅行先で滝の水を確保しときたいから、でかい水筒も買っておこうっと。

 

 

 

「ふぅ、疲れた。身体能力上がったと言ってもさすがに量が多かったぜ」

「仁、さすがにこれは買いすぎだろ」

 士郎にとっては買いすぎかも知れんが、今時の子は沢山服を持ってるのよ。
今までほとんど制服しか着てなかったから、これぐらいあってもいいだろう。

「修学旅行に持ってくものは、魔法発動体に水筒、着替え数点にカードゲーム類、
洗面道具に後は……」

 む、重要な物を手に入れなければ。

「士郎、早速エヴァの家に行くぞ! もらう物もらわなければならねぇぜ」

「ふむ、修行もいつも通りやるし、あっちでご飯作るとするか」

 エヴァの家に向け出発進行だ。

 

 

「エヴァ〜魔法アイテムくれ〜」

「図々しいぞジン」

 エヴァの家で食事中にねだるが失敗。
しょうがない、この手だけは使いたくなかったのだが。

「オレの血を400ccでどうだ?」

「…………」

「じゃぁ500……いや800ccでどうだ!」

「で、何が欲しいんだ?」

 800ccもやることになるとは、別荘で修学旅行まで回復させればいいんだけど、
修行もあるしきついぜ、ていうか死んじまう?

 別荘で何日かに分けて採血しないといけないな。
それにレバーを大量摂取だな。くどいぜ……

「携帯用、武器貯蔵アイテムだ。
何時襲われるかわからんから剣を何時でも手元に置いときたい」

「ほぅ、修学旅行では襲われることになっているのか。
……ない事はないはずだが、なかったら私が作って置こう」

「気前がいいなエヴァ。よろしく頼むぜ」

 エヴァが段々と良い子になってきてるが、こんな感じだったか?

「修学旅行で襲われるのかぁ。
じゃぁ仁、別荘でギリギリまで何日も篭るからな」

「ケケケ、皆デ仁ヲボコボコダナ」

 フッ、別荘で確かにそうなるだろうが、オレは粘らせてもらうおう。


 目指せ打倒、士郎にエヴァチームだ! 今回のオレは一味違うぜ!!

 

 

 

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